家庭菜園の中でも玉ねぎは比較的難易度が高いです。特に自然農ではしっかり生命の循環ができていないと、なかなか大きな玉ねぎはできにくいです。それでも、ポイントを押さえていけば、良質な玉ねぎを収穫することが可能です。玉ねぎ栽培のポイントと、私が実践する自然農の方法を紹介します。
自然農で育てる玉ねぎ栽培のポイント
玉ねぎ栽培が難しいのは以下の特性があるためです。
- 種まき、定植が早すぎるとトウ立ちし、遅すぎると生育が不十分になる
- 草に負けやすい
- 養分が多めに必要
では、それぞれについてポイントを解説します。
種まき、定植時期
玉ねぎの栽培でまず重要なのが種まきの時期です。種まきが早すぎると、春になったときにトウ立ちしてしまう可能性が高くなります。トウ立ちとは、花芽が出てくることです。トウ立ちすると花芽を成長するのに養分が使われ、玉ねぎが太りにくくなります。トウ立ちとしても、葉玉ねぎとして収穫すれば、とても甘くておいしいのですが、保存には向きません。
一方、種まきが遅すぎた場合には、冬を迎えるまでに十分大きくならないので、冬を超えられず枯れてしまうことがあります。
では、最適な種まき時期はいつなのでしょうか。残念ながら、畑の地域や気候、また植える玉ねぎの品種によって最適な時期が変わってくるため、一概にいつがいいということはできません。私の場合は、泉州中甲高黄大玉葱という品種で、2019年には9月15日に種まきしましたが、半数近くがトウ立ちしてしまいました。そこで、2020年には少し遅らせて9月22日に種まきしました。
このように、結果を見ながら微調整を行うことが必要になります。そのためには、きちんと農業日誌をつけておくことが肝心です。農業日誌のつけ方については、こちらで紹介しています。
また、トウ立ちを抑えるには、定植するときの苗の長さ20~25cm、太さを5~7mm程度にそろえておくと良いです。少し多めに種を播いて、大きすぎるもの、小さすぎるものを除外します。定植時期は11月いっぱいまでが目安です。遅すぎると寒さにより根の活着が遅れ、冬を越せなくなります。
自然農では肥料を施さないため、初期の生育がゆっくりです。したがって、トウ立ちさせないためには、種まき時期や定植の方法について、より細かな管理が必要になります。
草管理
玉ねぎは草負けしやすい作物です。特に春になり草が一斉に生えてくるころに対応をしないと、生育が遅れてしまいます。
草がある程度大きくなってくると、鎌で刈る必要がありますが、草が若い芽のうちに手で摘み取ってしまう方が、簡単で手間がかかりません。また、定植の段階からしっかりと刈草を敷いておくことでも、ある程度草の生育を抑制できます。
なお、夏草を刈らずにかき分けて玉ねぎを定植することで、春の草の抑制に成功した例もあるようです。自然農を実践していくうえで、参考になると思います。
養分の補給
玉ねぎが十分に肥大するためには、養分が必要となります。自然農では無肥料が原則であるため、土に地力をつけておく必要があります。前作にトマトなどの夏野菜を育てたところで、夏の草を刈って敷いておいたところに玉ねぎを植え付けると、比較的養分が供給できます。
しかし、生育具合などから養分が不足していると感じる場合には、自然農では補いを行います。補いとは、畑や生活の中から出たものを畑に循環させる方法で、具体的には米ぬかや油粕などを表面に軽く振りまいたりします。
私は、正月早々に、自分の畑で育てた小麦から出たふすまを、株間に一つまみずつ施しておきました。たったこれだけでも、土の表面がかなりフカフカになり、玉ねぎの葉色もよくなったように思います。また、春になり周辺の草の成長が旺盛になってくれば、刈った草を敷いておきます。下の写真は3月20日時点での、私の畑での玉ねぎの様子です。玉の肥大はまだ始まっていませんが、葉の調子は良さそうです。
まとめ
自然農で玉ねぎを育てるためのポイントをまとめました。
- トウ立ちさせないよう種まき、定植の時期を最適化する。そのためには農業日誌が重要
- 草整理をしっかりと行う
- 夏の間に土に養分を蓄える。必要に応じて補いを実施
玉ねぎは初心者には少しハードルが高い作物ですが、自然農でできた玉ねぎは、甘くて非常においしいです。ぜひ挑戦していただきたいと思います。
自然農についてもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。