自然農の始め方 実践編 第2回 畝立て

前回は耕作放棄地を開墾する様子を記載しました。生えている草を刈った後は、畝を立てていきます。自然農では一度畝を立てると、その後何年も使用するため、はじめの計画が重要となります。今回は畝立ての計画と、実際の手順を述べます。

目次

畝立ての目的

そもそも、なぜ畝を立てるのでしょうか?畝立てには大きく2つの目的があります。

1つ目は作物を植える領域と、作業のため人が通る通路を区別するためです。畝を立てずに作付けすると、特に作物が小さいうちはうっかり踏んでしまう可能性があります。自然農では草や草マルチで覆うため、作物があまり目立たないことが多いです。畝を立てることにより、しっかりと区別が可能になります。

2つ目は土の水分の調整です。高畝にすると畝の水分が抜けやすくなり、逆に低い畝では水分を保ちやすくなります。土質や地形、育てる作物に合わせて畝を計画することで、作物の生育に適した水分量にすることができます。

畝立ての計画

畝を一度立てると作り替えるのは容易ではないので、はじめにしっかりとした計画を立てることが重要です。

畝の方向

畝は通常、南北方向に立てることが多いです。太陽の一日の動きを考えると、南北に立てた畝に作付けした作物は、午前中東側から、午後は西側から日光が当たります。一方東西に畝を立ててしまうと、隣の株の影になるため、日当たりが悪くなります。

傾斜地では水分が斜面の下に向かって流れやすいため、等高線に沿って畝を立てることで、水分を保つことができます。

畝の高さ

畝の高さは、粘土質で水持ちが良い(水はけが悪い)場合には高畝に、砂質で水はけが良い場合には低畝にします。

また、育てる作物によって、水分を好む野菜(サトイモ、ナス等)は低畝、乾燥を好む野菜(ジャガイモ、トマト等)は高畝が適しています。しかし、畝の高さを変えるのは簡単ではないため、圃場の中の水分状態を観察し、それぞれの場所に適した作物を植えることでよいと思います。

畝幅と通路の幅

畝幅は通常、1~1.2m、通路幅は40~80cm程度です。

畝幅は畝の中央まで手が届き、定植や草整理などの作業がしやすい幅にします。どの作物を何条で植えられるかにより圃場全体の収量が決まるので、それも考慮して幅を決定します。

また、スイカやカボチャのような地這いのつる性の作物は3m程度の広い畝幅が必要になります。

通路幅は作業性に支障のない範囲でできるだけ狭くすることで、立てられる畝の本数を最大化できます。収量を追求しない場合には、広めにとると作業がしやすいです。

今回の畑では、畝幅105cm、通路幅45cmとしました。

耕作放棄地での畝立て

耕作放棄地では、セイタカアワダチソウやスイバなどの宿根草の根がびっしりと生えている場合があります。しかも、かなり太い根があると、畝立てのためにこれらを取り除くことが大変な重労働になります。

その解決策として、島の自然農園の動画で、畝を立てず、宿根を取らずに、穴だけあけて苗を定植する方法が紹介されています。この後、白菜は耕作放棄されていた時にたまった養分により、見事に育っていました。私の畑でも、畝立ては進めつつ、作業が追い付かないところでは、この方法を試してみようと思います。

ただし、私の畑では開墾前には主に笹が生えていたので、この動画の圃場ほど養分が豊かではないかもしれません。それも含めて、今後どのようになっていくか確認していきます。

また、数年間作物を育てるために、宿根草の地上部を刈り取っていれば、やがて宿根も朽ちてくるので、その後に畝立てをすることで、労力が軽減できることが期待されます。

畝の立て方

実際に畝を立てていく手順を述べます。

草刈り

畝立てをする場所に草が生えている場合には、あらかじめ刈っておきます。面積が小さければ鎌で刈っても良いし、広ければ刈り払い機が便利です。

刈った草は後で使用するため、脇によけておきます。

畝の始点と終点の設定

畝の始点と終点になる部分を決めます。一番端の畝の両端の位置を決めて、それと平行に通路を作っていくことで、美しい仕上がりになります。

平行の出し方は、中学の幾何の知識を使えば正確にできますが、ここでは詳細は省略します。そこまで厳密にしなくても畝としては十分に機能するし、趣味の世界ですね。

通路の両端の位置が決まれば、支柱を立ててロープで結びます。草などが絡むことがあるので、できるだけピンと張った方が良いです。

畝と通路の境界に切り込みを入れる

ロープを張った後は、ロープに沿って剣先スコップで切り込みを入れていきます。その際に宿根草の根を断ち切っていくようにします。これにより次の土を畝に盛り上げる工程が少し楽になります。

切り込みを入れる深さは計画時に設定した深さになるように加減します。下の写真はロープに沿って剣先スコップで切り込みを入れた後の状態です。

通路の土を畝に盛り上げる

剣先スコップで入れた切れ込みに沿って、平ぐわで土を起こし畝に土を盛っていきます。この時、宿根草の根があれば取り除いておきます。切り込みを入れた際に根が切れていれば楽に取り出せますが、地中深くにつながっている場合には、のこぎり鎌で切り取ります。

下の写真は取り出した宿根の一部です。かなり太いものもありました。おそらくスイバの宿根だと思います。また、副産物として菊芋がたくさん出てきたので、おいしくいただきました。

左側の通路が完成した状態です。右側の通路は作り始めたのですが、この場所は午前中に木の陰になるため、畝立てを後回しにすることにしました。

そして、畝の左側の通路も同様に掘り上げていきます。このようにして畝を1本ずつ仕上げていきます。なお、畝の端は現時点で特に何もしていないですが、通路に水がたまるような場合には、排水のための溝を掘る場合もあります。

畝の形を整える

畝の肩が角張っていると崩れやすくなるため、肩の土を削って畝の中央に寄せます。これにより畝全体をかまぼこ型に仕上げます。

その際、畝自体を耕すことはしません。あくまで土を盛り上げるだけです。なお、地力があまりないけれども、初年度からある程度の収穫を期待する場合には、腐葉土やもみ殻燻炭などを表層付近に軽く漉き込むのが有効です。

刈った草を畝に戻す

最後に刈った草を畝の上に敷いて完成となります。草を大量に敷く場合には、あらかじめ草を乾燥させておいた方が無難です。乾燥する前に敷くと、草の水分により腐敗状態となり、作物の生育の障害になる可能性があります。少量であれば、そのまま敷いても問題ないと思います。

畝の管理

畝は一度立てると数年間使用し続けます。畝を立てた直後は、畝の上にも通路にもあまり草は生えませんが、時間とともに草が生えてきます。

通路の草は生やした状態にしておきます。これにより、例えば雨の後にすぐ作業を行っても、通路の土を練ってしまうことがなく、土が固く締まることを軽減できます。

また、作業の邪魔になる場合は刈って畝に敷くことで、草マルチの供給源としても活用できます。

長年使用を続けると畝の形が崩れて、通路との境界があいまいになってきます。その場合には再度通路の土を盛り上げます。方法は始めの畝立ての時と同様です。

まとめ

自然農での畝立ての方法について紹介しました。

剣先スコップ、平ぐわ、のこぎり鎌を使い手作業での畝立てを基本としています。その場合、畝を容易に作り直せないので、はじめにしっかりとした計画を立てることが重要です。

私の畑では畝立てと作付を並行して進めており、畝立てをせずに播種、定植を行った場所もあります。

次回はこの畑での播種、定植について紹介したいと思います。

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