種まきや定植、様々な農作業を行うとき、去年はどうしてただろう?と思うことがよくあります。去年は植えるのが早すぎたからもう少し遅くしたいといったフィードバックも非常に重要です。そのためには、農業日誌が欠かせません。私の農業日誌のつけ方を公開します。
農産物の品質を上げるには日誌が必須
農作業は1年ごとの繰り返しです。昨年の反省を活かすことができなければ、生産する野菜の品質を上げることはできません。しかし、人間の記憶力は儚いもので、1年前に行ったことを正確に記憶しておくことは、常人には不可能です。
農業日誌をつけるということは、家庭菜園規模であっても、必須であると言えます。農業日誌をつける方法は、以下の方法があります。
- 紙(ノート)
- パソコン(エクセル)
- アプリ
紙(ノート)
最も原始的で簡単な方法です。何のスキルもいりません。書き方を工夫すれば、かけがえのない資産になります。主な記入内容は以下の通りです。
- 日付
- 天気、気温
- 作物の状態
- 作業内容
- 気づき、感じたこと
また苗づくりに関しては以下を記しておくとよいです。
- 播種日
- 使用したポット、ポット数
- 1ポット当たり播いた数→発芽率が評価できます
- 発芽日
- 発芽数
- 苗の生育状態
- 間引きの方法
- 定植日
- 気づき、感じたこと
これだけ記入しておけば、次の年に同じ作業を行うときに参考にすることができます。また、最も重要なのが、気づき、感じたことです。これを書いておくことで、改善につなげることができます。特にうまくいかなかったことについては、改善のネタになるので、しっかりと記録しておくことが重要です。
また、作付計画も同じノートに書いておくと、さらに便利です。作付計画は、どの畝に何を植えるのか、播種/定植予定日などを書いておきます。これでうっかり種の播き忘れを防げます。種を購入する場合には、播種日から逆算して準備ができます。
パソコン(エクセル)
紙のノートでも十分に有益な日誌をつけることができますが、エクセルを使うことで、さらに体系的にまとめることができます。特に少量多品目を栽培する家庭菜園での管理に最適です。
私は畝ごとにシートを分けて記入するようにしています。こうすることで、畝単位で作物の成長過程を時系列に見ることができます。ここでの記載内容はノートとほぼ同じです。
また、育苗については別シートで管理します。こちらも記載内容はノートと同様です。
エクセルの日誌では、まとめ表を作っています。播種日、発芽日、使用した畝などのデータを一つの表で管理します。また、生育状況、病虫害の有無、作物の品質、採種などをA~Dランクで評価した結果も記入します。評価基準は自分で決めればOKです。例えば私の「品質」に関する評価基準は下記としています。
- A 自然農特有の最高品質
- B 市販されている程度
- C 食べられるが出荷は難しい
- D 積極的に食べたくない
このようにしてデータベース化しておくことで、上手くできた時と、そうでないときの分析ができるようになります。詳細は各畝のシートに記載してあるので、後で検索することが可能です。
アプリ
農業日誌を記録できる専用のアプリがあります。その名を畑らく日記と言います。
音声入力ができるので、畑で作業してその場で入力が簡単です。また、写真を撮ってそのまま記録として使用できたりと、スマホの便利さをそのまま活用することができます。また、家に帰ってからパソコンで編集も可能です。
さらに、SNS機能で、他の農家さんと栽培記録を共有することが可能。他の人を参考にできるのは心強いですね。
しかも、基本機能だけであれば無料で使用できます。開発者にとっては、多くの利用者が記録するデータを集約することに価値があるため、無料で提供できるそうです。
なお、有料版では複数の作業者の栽培記録を一元管理できるようになります。大規模農場向けです。
まとめ
「農業で利益を出し続ける7つのルール」で著者の澤浦彰治氏は「駄農と篤農家の違いは日記をつけるかどうか」と述べられています。私は自然農による野菜作りを始めたとき、作付計画をノートに書いたあと、自然にそのノートに日誌をつけ始めていました。
農業もPDCAを回すことで品質、作業効率の向上につながると思います。もし日誌をつけていない方がおられましたら、日誌をつけることをお勧めします。