のらぼう菜は花芽を収穫します。摘んでも次々と花芽が出てくるのですが、何度も収穫していると、どんどん細くなって収穫量が減少していきます。そこで、長期間太くて柔らかい花芽を収穫でき、通常の5倍の収量を上げられる「深摘心」という手法を紹介します。
のらぼう菜の収量を5倍にする方法
のらぼう菜はアブラナ科の作物ですが、遺伝子的に少し変わった特徴を持っています。詳細はこちらで紹介しました。春に花芽を収穫しますが、通常の菜の花より苦みが少なく、甘みが強いのが特徴です。
のらぼう菜は一度収穫した後も次々と花芽が出てきて、収穫を続けることができます。しかし、通常の方法で収穫を続けると、細いものしか採れなくなり、収量が減少していきます。ところが、深摘心という方法で、太い花芽を長期間収穫できるようになり、通常の5倍の収量にすることができます。
深摘心の方法
深摘心とは、地際5~10cmの低い位置で摘心を行います。これは2月の下旬に行い、最初の収穫を兼ねています。こうすると、茎の非常に太い位置から次の脇芽が出てくるため、とても太く、柔らかくなります。収穫の時にも、生長点を一つだけ残して摘み取ることで、次も太くなり、10日に1回収穫を行うことができます。
3月下旬からは、脇芽の成長が早くなるため、収穫後に切り戻しを行うことで、5月上旬まで収穫を続けることができます。
この道70年の農家が紹介
この深摘心という技術は、のらぼう菜を70年作り続けている高橋孝次さんが偶然発見した手法です。高橋さんの奥様が収穫の時に、手を滑らせて根元に近いところで切ってしまったところ、切り口の脇から太い新芽が伸びてきたそうです。
この発見から、深摘心という手法を確立しました。一袋200円で一日50~70袋を昼過ぎまでに売り切ってしまうそうです。その結果、約3カ月の収穫期間で、10アールあたり100万円以上の売り上げになるとのことです。
自然農でもできるか試してみた
高橋さんの方法では、12月から2月の間に追肥を3回行い、冬の間にじっくりと成長を促します。では、肥料をやらない自然農でも同様にできるのでしょうか?私が自然農で育てているのらぼう菜で試してみることにしました。
本来、2月下旬に深摘心を行うのですが、試したのは3月7日で1回目の収穫を終えた後なので、少し遅くなってしまいました。主茎とすでに摘み取りを終えた脇芽を根元まで切り戻しをしておきました。この後どうなっていくか、今後の記事で取り上げていきます。
まとめ
のらぼう菜の収量を5倍にする深摘心という方法を紹介しました。
- 2月下旬に地際から5~10cmの高さで摘心
- 3月下旬以降は、脇芽を根元まで切り戻し
- 自然農でもできるか検証中
高橋さんの手法をさらに詳しく知りたい方は、以下の書籍をご参照ください。収穫方法だけでなく、育苗から種採りまでのやり方や、のらぼう菜のおいしい食べ方の紹介まであります。