自然農での夏野菜の育苗 サラリーマンでも簡単にできる育苗方法公開

ナスやトマトといった夏野菜の育苗シーズンとなりました。家庭菜園規模では苗を購入される人も多いと思います。しかし、自然農に挑戦する場合には、できるだけ自家採種して適した遺伝子を選抜したいです。種から育てる必要があり、夏野菜は自分で苗を作る必要があります。

サラリーマンだとこまめな管理ができず、苗づくりは難しいイメージがありますが、私が実践するサラリーマンでも簡単にできる育苗方法を紹介します。

目次

育苗の目的

そもそも、なぜ育苗をするのでしょうか。夏野菜は暖かい地域が原産のため、発芽やそのあとの生育が高い温度である必要があります。日本で栽培する場合、3月ごろは夏野菜にとって露地の畑では温度が低すぎるため、高い温度を維持できる環境を整える必要があり、そのために育苗を行います。

一方、暖かくなってから種を播けば育苗の必要はありません。5月上旬であれば、十分に発芽、生育することができます。しかし、収穫が8月ごろになってしまうため、収穫できる期間が短くなってしまいます。特に自然農では初期の生育がゆっくりのため、この傾向が顕著です。

したがって、本来日本の気候には適さない作物でも、できるだけ収量を上げるために、苗を作るということになります。これは、ある意味「不自然」な行為なので、多くの手間や気配りが必要になります。

苗半作というように、健康で丈夫な苗を作ることができれば、半分成功したようなものです。その後の生育に大きく影響するため、苗づくりは丁寧に行う必要があります。

培土の準備方法

育苗でまず問題となるのは、使用する土(培土と言います)をどのように準備するかです。大きく分けて2通りの方法があります。

  • 畑の土と養分を供給する資材を混ぜて作る
  • 市販の育苗培土を購入する

自然農的自家製培土

自然農を実践する場合、自分の畑およびその周辺だけで入手可能な資材で用意する必要があります。畑の土だけでは育苗期間中に養分が切れてしまうため、養分を供給する資材を混ぜる必要があります。代表的な資材は以下のようなものがあります。

  • 雑草堆肥
  • 踏み込み温床の土(後述)
  • もみ殻燻炭

ただし、養分が不足すると生育が悪くなり、多くなりすぎると虫にやられやすくなるので、配合についてはある程度試行錯誤が必要になると思います。

市販の培土

自家製の培土を用意するのは、相当ハードルが高いと思います。平日会社勤めをしているとなかなか実践できるものではありません。そこで、割り切って市販の培土を購入するのも有効だと思います。種まき用の培土は少し高めの値段ですが、家庭菜園程度であれば、1袋(25L)あれば1シーズン分は十分だと思います。私は、市販の「種まきの土」を使用しています。

保温方法

土を用意した後は、いよいよ種まきですが、発芽、育苗するには必要な温度を確保する必要があります。代表的な方法は以下があります。

  • 踏み込み温床
  • 透明コンテナ
  • 電熱育苗器
  • 自宅内育苗

踏込み温床

踏み込み温床とは、落ち葉、米ぬか、畑の土などを層状に積み上げ、水をかけ、文字通り踏み込んだもの上に苗をおいて育苗するものです。畑の土の微生物が、落ち葉や米ぬかを分解するときに発生する熱を利用します。

十分な発熱を得るには、ある程度まとまった量で行う必要があり、上記の資材を準備できる環境が必要になります。踏み込んだ資材は1年間置いておくと、分解が進み、先述した種まき用の培土の資材としても利用することができます。

資材と場所を確保できれば非常に優れた方法ですが、家庭菜園規模では難しいと思います。

透明コンテナ

透明の衣装ケースに育苗ポットを設置し、太陽光の熱により温度を確保する方法です。墨汁を入れたペットボトルを一緒に入れておくことで、より温度を高めることができます。

材料は入手しやすいものばかりですが、こまめな温度管理が必要となります。日なたに蓋をしたまま長時間出しておくと、温度が上がりすぎて苗が傷んでしまう可能性があります。

平日の日中に放置しないといけない環境であれば、採用は難しいと思います。

電熱育苗器

電熱線が入った容器が市販されています。「愛菜花」、「菜友器」といった名前の商品があり、サーモスタット付きのものは温度調整までしてくれます。私は菜友器を使用しています。

発芽までは、この育苗器に入れておけばよいですが、発芽した後はしっかりと日光に当てないと、徒長して弱い苗になってしまうので、注意が必要です。

自宅内育苗

暖房等により室内の温度が20℃くらいあるのであれば、上記のような育苗器を用意しなくても、室内に保管しておくだけでも、育苗が可能です。室内では日当たりの確保が難しいため、徒長には注意が必要です。

育苗器を購入前は、この方法でした。発芽が4月中旬ごろになるように、発芽日数を逆算して種まきを行い、発芽後の日中は外に出すようにしていました。ただし、4月だとまだ寒くなる日もあるので、その場合は家の中の日当たりの良い場所に置いてました。

ずっと室内だと徒長しやすくなるのと、急に外に出した際、紫外線への抵抗がなく、葉が焼けてしまうことがあります。発芽後できるだけ早めに日光に当てることが重要です。

家庭菜園でも実施可能な育苗方法 (実践編)

私は市販の育苗培土と育苗器を使って育苗しています。今日はナスとピーマンの種まきを行いました。ナスは野口種苗研究所で購入した、早生真黒茄子と泉州絹皮水茄子、ピーマンは昨年自家採種したさきがけピーマンです。

比較のため、育苗器で加温するものと、室温のままの両方を用意しました。育苗器の設定温度は25℃としました。育苗器の方はセルトレイの1穴あたり1粒、室温の方は7.5cmポットに2粒ずつ播種しました。

培土はポットに詰める前に水を入れてよく撹拌します。水の量は、土を握って軽くまとまる程度です。種まき、覆土した後、軽く鎮圧し、霧吹きで表面を湿らせておきます。なお、発芽した後は水は上からかけずに、底から吸わせるようにし、根を発達させます。

このような育苗方法でも、畑に定植してから自然農を実践できると考えています。育苗の様子は今後も紹介していきます。

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