自然農の自家採種 おすすめランキング

自然農を続けるには自家採種が適しています。自家採種は作物の種類により難易度はかなり異なります。そこで、自然農歴10年以上の私が自家採種のおすすめランキングを発表します。

目次

評価項目

自家採種のおすすめ度を以下の項目で評価していきます。

  • 採種のしやすさ
  • 収穫期の後の畑の占有期間
  • 交雑のしにくさ
  • 種子寿命

採種のしやすさ

文字通り採種のしやすさです。

  • ◎:収穫物そのものが種、またはほとんど手間をかけずに採種可能
  • 〇:若干の手間が必要
  • △:発酵処理等の手間が必要
  • ×:ごみの除去等、非常に手間がかかる

収穫期の後の畑の占有期間

作物によっては、収穫した後、採種のためにはそのまま畑に置いておく必要があります。その期間の長さにより評価します。

  • ◎:採種のための期間は不要
  • 〇:最初に成ったもので種採りすれば、収穫期間内に採種可能
  • △:採種のために2~3カ月畑に置いておく必要がある。
  • ×:採種のために半年以上必要

交雑のしにくさ

交雑しやすい品種は形質を固定することが難しいです。交雑のしにくさは自家採種するうえで重要です。

  • ◎:自家受粉が可能で、交雑の可能性は非常に低い
  • 〇:他家受粉だが、人工授粉が容易
  • △:他家受粉で交雑しやすい
  • ×:他家受粉で非常に交雑しやすい

種子寿命

採種した種子の発芽能力の維持期間です。種子寿命が長いと、何らかの理由で採種ができなかった場合に、過去に採種したものを使用することができます。命をつないでいくうえで重要な要素となります。なお、種の保存状態により寿命が変わるため、目安の期間です。冷蔵庫で保存すると寿命が延びます。

  • ◎:5年以上
  • 〇:4~5年
  • △:3~4年
  • ×:2年以下

自家採種おすすめランキング

私がこれまでに育ててきた野菜についてランキングします。私の主観も含まれますので、その点はご容赦ください。なお、イモ類などの栄養繁殖の作物は除外しています。

ランク品目採取しやすさ畑の占有期間交雑しにくさ種子寿命
1アズキ
2オクラ
3スイカ
4落花生
5ナス、ピーマン
6ソラマメ、エンドウ
7トマト
8のらぼう菜
9キュウリ
10ダイコン
11カブ、アブラナ科葉物×
12ニンジン×
13タマネギ××

1位 アズキ

堂々の1位はアズキです。育てている人は多くないかもしれませんが、日本人のソウルフードです。

収穫物がそのまま種子になるので、採種のための手間が全くかかりません。また、マメ科は自家受粉するので交雑の心配がありません。アズキを育てている人が少ないのは、交雑の面ではメリットになります。

種子寿命は3年程度と言われています。ファスナー付のビニル袋や密封できるビンに入れておけば、十分保存可能です。

2位 オクラ

2位はオクラです。完熟したさやを開くと簡単に採種できます。1つのさやに50粒程度の種子が入っています。2~3個のさやから採種すれば、家庭菜園では十分すぎる数が確保できます。

さやを完熟させるためには収穫期から数週間畑に残しておく必要があります。成り始めのオクラを収穫せずに置いておけば、収穫期間内に完熟させることもできます。次作への影響は少ないです。ただし、時期が遅くなり秋に差し掛かると、気温が低くなり熟すまでの期間がかなり長くなってしまうので、注意が必要です。

オクラの種子は硬く大粒のため、5年以上の保存が可能です。

3位 スイカ

3位はスイカです。完熟した実を食べるときに、種を採って水洗いして乾かすだけで採種完了です。

スイカは雄花と雌花に分かれているので、近くで別品種のスイカを育てている場合には交雑のリスクがあります。雄花を摘んで人工授粉することで、交雑のリスクは比較的簡単に下げることができます。

スイカを始めウリ科の種子は長寿命のものが多いです。

4位 落花生

4位は落花生です。収穫物がそのまま種子になります。マメ科なので交雑の心配も少ないです。市販の落花生の種は寿命が2年以下と短いです。一方、自家採種した場合は、さやから取り出さず保存しておくと、寿命が延びます。さやごと保存しておき、種まきの直前にさやを割って種子を取り出します。

5位 ナス、ピーマン

5位は、ナス、ピーマンです。シシトウも同様です。収穫適期は未熟の状態のため、採種するためには、完熟させる必要があります。ナス、ピーマンは収穫期間が長いため、はじめの頃の実を完熟させれば、収穫期間中に完熟させることも可能です。

完熟した果実から種を採りだし、少し乾燥させるだけで採種可能です。

種子寿命は長く、私は5年以上前のナスの種でも発芽したことを確認しています。これは、ナスの栽培がうまくいかず、ずっと同じ年に採った種を使っていたためです。

6位 ソラマメ、エンドウ

6位は越冬させる豆類であるソラマメ、エンドウです。どちらも未熟果を収穫するので、完熟させるにはしばらく畑に置いておく必要があります。完熟させれば、さやを開くだけなので、採種は簡単です。

何度も出てきますが、豆類は交雑の心配は少ないです。種が大きいので、保存の時にかさばるのが難点と言えば難点です。

7位 トマト

7位はトマトです。同じナス科のナスやピーマンとの違いは、完熟した実を収穫することと、採種の時に手間がかかることです。

トマトは完熟した実を収穫するので、種採りのために収穫期を過ぎて成らせておく必要がありません。

一方、種採りには手間をかける必要があります。トマトの種子は果実の中のゼリー状の中に包まれています。ここから取り出すには、ビンやファスナー付の袋にゼリーごと取り分け、数日間発酵させる必要があります。発酵後にざるなどに開けて水洗いし、よく乾燥させます。

種子の寿命は4~5年程度と言われています。

8位 のらぼう菜

8位は本サイトでたびたび登場しているのらぼう菜です。アブラナ科ですが特殊な遺伝子の型により、交雑しにくいという特徴があります。多量のさやから細かい種を取り出すのは若干手間がかかりますが、難しさはありません。

種子寿命は4~5年程度はあると思います。

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9位 キュウリ

9位はキュウリです。キュウリは未熟化を収穫するため、しばらく成らせておく必要があります。オレンジ色の巨大な果実になります。種を採るのは、トマトと似た手順です。完熟した実を包丁で縦に半分に割り、ゼリー状に包まれた種をビンやファスナー付の袋に保存し、数日間発酵させます。

発酵後水洗いしてゼリーを取り除きます。その際、水に浮くものは発芽しない可能性が高いので、取り除いておくと良いです。そのあと、十分に乾燥させて完了です。

キュウリは雄花と雌花に分かれているため、近くに別品種のキュウリがあると交雑のリスクがあります。できるだけ周囲の花粉が来る前に受粉した果実から採種することが望ましいです。私は四葉キュウリという品種を育てており、隣の畑で別品種のキュウリを育てていたりもしますが、上記の方法によりこれまで交雑したことはないです。

キュウリの種子寿命は5年以上と長いため、万一交雑した場合には、その前の年に採った種を用いることで、品種を維持することができます。

10位 ダイコン

10位はダイコンです。ダイコンの種子は非常に硬いさやの中に入っているため、ペンチなどでさやを開ける必要があります。また、ダイコンの収穫は冬場で終了しますが、結実するまで畑に残しておく必要があり、その間畑を占有してしまいます。また、近くに異なる品種の大根があると交雑の可能性があります。

自家採種の条件としてはあまりよくないですが、一度採種すれば5年程度は発芽能力を維持するため、挑戦する価値はあると思います。

11位 カブ、アブラナ科葉物

11位はカブおよびコマツナ、チンゲン菜、ハクサイなどのアブラナ科の葉物野菜です。条件としては8位ののらぼう菜とほぼ同じですが、最大の違いは交雑しやすいことです。秋まきの葉物はいろいろな種類がありますが、複数種類の野菜から種採りすると、交雑の可能性が高くなります。

私はのらぼう菜以外にはみやまこかぶの1種類のみ自家採種しています。それ以外のアブラナ科の葉物を育てる場合には、種を購入し、開花前に撤収する方が無難です。

12位 ニンジン

12位はニンジンです。ニンジンの種は採るのが非常に手間です。細かい花がたくさん咲くのですが、そこに種ができます。完熟した後、種を振るい落としますが、その際に種以外のごみもたくさん混じってしまい、選別するのが非常に大変です。収穫期を過ぎてしばらく結実まで畑に置いておく必要があります。また、種子寿命も2年程度と短めです。私はニンジンの種採りは行っていません。

13位 タマネギ

最下位はタマネギです。タマネギの種を採るには、収穫から丸一年かかります。収穫したタマネギを半年程度保存しておきます。よく乾燥しておかないと腐ってしまうことがあります。秋になると種採りをするタマネギを畑に植え付けます。そのまま越冬させ、春にネギ坊主ができ、梅雨前にようやく種が採れます。

また、せっかく採った種は寿命が非常に短く、1年以上たつと発芽率が極端に下がると言われています。私は冷蔵庫で保管するようにしています。

タマネギ自体の栽培も難しいので、タマネギの採種は初心者にはあまりお勧めできません。私はこれまでタマネギの種を採ったことがなかったのですが、今年は挑戦中です。

まとめ

自家採種のおすすめをランキング形式でまとめてみました。自然農をするなら自家採種が望ましいですが、難易度に応じてできる範囲で採種することで良いと思います。採種が難しいものは購入すればよく、無肥料種子が入手できれば、自然農でも育てやすい可能性が高いです。

自分で撮った種が発芽した瞬間は非常にうれしいものですし、収穫できればさらに感動できます。ぜひ自家採種の世界を味わってみてください。

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