自然農の野菜はおいしいか 野菜のおいしさを決める3つの要素

自然農で栽培された野菜は、他の農法の野菜と比べておいしいのでしょうか?野菜のおいしさを決める3つの要素と、自然農の野菜のおいしさについてまとめました。

目次

野菜のおいしさを決める3つの要素

結論から述べると、自然農の野菜は非常においしいです。慣行農法や有機農法で育った野菜も当然おいしいものはあります。

野菜のおいしさ(味)を決める3つの要素として、鮮度、品種、農法があると考えています。そして、この順番で影響度が大きいと思います。それぞれの要素について詳しく述べます。

鮮度

野菜のおいしさは何といっても鮮度が一番です。さつまいもやカボチャなど、熟成させた方がおいしくなる例外もありますが、基本的には、採れたてを食べるのが一番おいしいです。

一般的な流通では、収穫してから店頭に並ぶまでに数日かかることが多いので、直売に比べると不利になります。農法によらず、鮮度が良いものを入手することがおいしさにつながります。

品種

鮮度の次には品種が味を決める要素になります。同じトマトでも、品種によって味わいや食味が大きく異なります。大量生産の慣行農法では、生育をそろえたり、流通の過程で劣化が少なくなるような品種が選ばれることが多いです。そのため味が犠牲になる場合があります。

生育にばらつきがあったり、輸送に向かないけれども、抜群においしい品種などは、通常の流通では出回らないことが多いです。

私は、みやまこかぶ、大浦太牛蒡、ステラミニトマトなど、味を重視した品種を栽培するようにしています。

農法

慣行農法や自然農法では、肥料を施します。リービッヒの最小律という概念があり、生長速度や収量は必要な栄養素のうち最も少ないものにより決まるというものです。したがって、一番少ない栄養素が足りるように施肥すると、それ以外のものは必ず余ります。

私は、この余剰肥料が味に影響すると考えています。特に窒素が過多になった場合には、硝酸体窒素として植物に蓄積されます。硝酸体窒素は苦み、えぐみとして感じられることから、おいしさに影響します。

また、有機栽培で牛ふん堆肥等の動物性の肥料を多用する場合には、野菜が品目によらず肥料の味になってしまうこともあるようです。

自然農は基本的に無施肥のため、栄養が過剰になることは無く、野菜本来のおいしさにつながると考えられます。

自然農の野菜のおいしさ

データで見る自然農野菜のおいしさ

自然農の野菜のおいしさを裏付けるデータがあります。今は休刊となっていますが、奇跡のリンゴの木村秋則さん監修の「自然栽培」のVol.7にその記事が掲載されています。

硝酸イオン、糖度、抗酸化力、ビタミンC含有量を自然栽培で育った野菜と全国平均と比較したものです。検証した品目はほうれん草とニンジンです。

硝酸イオンは自然栽培で育った野菜の方が圧倒的に少ない結果となりました。抗酸化力も自然栽培の方が大きな値を示しました。糖度、ビタミンCは大きな違いは無かったようです。

硝酸体イオンは前述したようにえぐみの成分になるので、無施肥の効果によるおいしさが実証されたと考えられます。

なお、自然農と自然栽培は厳密には異なりますが、ここでは、同じく自然の力を利用した無施肥栽培のグループとして扱いました。詳細な農法の違いはこちらをご参照ください。

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成分では測れない要素

最近の野菜は品種改良や栽培方法により極端に糖度を高いものを良しとする傾向がありますが、本来のおいしさは甘み、酸味やいろいろな味のバランスが重要と思います。

自然農で育った野菜は、その品種の本来のおいしさが味わえます。その違いは生で食べると実感できます。私が育てたナスやピーマンを生で食べた人は、皆その違いに驚いていました。

畑の中で、他の草、虫、微生物たちと共存して、いのちの循環の結果として得られた作物は、成分分析などでは測り得ないおいしさがあるのだと感じています。

健康に育ってこそのおいしさ

自然農で野菜を育てれば何でもおいしいかと言えば、そうではありません。土ができていない状態で肥料を施さないで栽培してもまともに大きく育ちません。そのような野菜は食べてもおいしくないです。

肥料を施さないで野菜を本来の姿に生育させるためには、土の中での微生物との共生が欠かせません。

そのためには草を刈って敷き亡骸の層を形成する必要があります。そして亡骸の層は耕すと壊されてしまうので、不耕起であることが重要となります。

このような自然農の栽培方法により年々土が豊かになっていき、健康な野菜が育つようになってきます。初期状態や育てる品目にもよりますが、本当においしい野菜ができるようになるのは2~3年はかかると言われています。

まとめ

自然農の野菜のおいしさについて述べました。

農法以前に、新鮮であること、流通過程等よりも味を重視した品種であることがおいしさの前提となります。そのうえで、肥料を施さないことにより硝酸体窒素が非常に少ないことが、自然農のおいしさの大きな要因と考えました。そして、それは成分分析にも裏付けられました。

一方自然農であっても、健康に育たなければ本来のおいしさは得られず、時間をかけて土を豊かにしていくことがとても大切です。

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