自然農の始め方 実践編 第3回 作付け(その1)

耕作放棄地を開墾し、一から自然農を始めています。前回は畝立ての方法を紹介しました。今回は畝に作付けした野菜たちを紹介します。新たに開墾した畑で、無肥料、無農薬、不耕起でどの程度作物が育つのか、お伝えしたいと思います。

目次

九条葱

まず最初に作付けしたのは九条葱です。これを選んだ理由は、単に苗が余っていたからです。128穴トレイで育苗した苗のうち、40株ほどは従来の畑に作付けしましたが、残り80株ほどが余っていたので、こちらの開墾したての畑に定植しました。

105cmの畝幅に4条で株間15cmで定植しました。5/4に定植した後の様子です。草マルチにしやすい草があまり生えておらず、かなり土が露出しています。

定植から24日たった九条葱です。土中の微生物がまだ活性化していないせいか、成長はかなりゆっくりです。

周辺の草の種類は、スイバ、菊芋、セイタカアワダチソウ、笹が主に生えています。ネギは株間が狭いため、このような大型の草では草マルチがしにくいです。できるだけ細かくしてマルチしていますが、あまりうまくいっていません。

大型の草しか生えないような、土のステージが低い段階で、九条葱はあまり相性が良くないようです。ネギは草丈がさほど高くならないため、あっという間に雑草に抜かれてしまいます。それでも、ネギは生命力が強いので、こまめに草マルチを繰り返せば、少しずつ成長してくれると思います。

枝豆

やせた土地には、根粒菌の力で窒素を固定化することのできるマメ科が向いていると思い、九条葱の次には枝豆を植えました。

1箇所3粒の直播きで、株間45cm、2条播きとしました。播種した後は、乾燥しないようしっかりと草マルチを敷きます。周囲には菊芋がどんどん生えてくるので、これを刈り取って敷いておきました。

播種から6日後、しっかり発芽しました。発芽したばかりの子葉は、ナメクジなどに食べられることが多いですが、今回は概ね無事でした。

播種から約2か月後の様子です。地力がまだないので、草勢は強くないですが、根粒菌の力で何とか育っています。葉の色もちょうどよいと思います。このまま順調にいけば、少ないながらも収穫までいけそうです。

四葉キュウリ

キュウリを定植するためには、ネットを張る必要があります。今回は18mのネットを張り、半分をキュウリ、もう半分をゴーヤーを作付けすることとしました。品種は四葉(スーヨー)キュウリといい、実の表面のしわが深いのが特徴で、皮が柔らかくとてもおいしいです。

長さ2.4mの支柱を立て、上下をマイカ線で結びその間にネットを張りました。両端の支柱はロープを2本張り、地面にJ型の金具で固定しています。これにより強度が増し、風やキュウリの重みで支柱が倒れることを防いでくれます。

4/24に種まきしたキュウリの苗を5/28に定植しました。育苗中、双葉の頃に急に強い日差しに当てたため、少し葉が焼けてしまいました。その後は持ち直し、本葉が2.5枚程度での定植です。

18メートルの畝にずらっと苗を並べると、これまでの家庭菜園レベルとは異なり圧巻です。株間は60cm取りました。

定植の翌日、ネットの下側のマイカ線が何かの動物に噛み切られていました。何度か補修したのですが、そのたびに噛み切られるので、おそらくその動物の通り道をネットが邪魔していたのだと思います。

そこで、ネットの高さを高くし、下を通れるようにしました。キュウリがネットにつかまるまでの支えが必要なので、周囲にたくさん生えている笹を利用しました。不格好なネットになってしまいましたが、これでネットが壊されることがなくなり、ここの環境と調和することができたようです。

6/26のキュウリの様子です。巻ひげが笹の茎につかまり、上に伸びようとしています。いくつか花が咲き順調に生育しているようです。四葉キュウリの名前の由来は、本葉が4枚のころに雌花がつくからです。しかし、あまりに早く雌花がつくと、茎葉の生長が遅くなるので、特に自然農でははじめの頃につく花は摘花します。

ゴーヤー

四葉キュウリと同じく4/24に種まきしました。ゴーヤーは苗の生育が良く、5/22の時点で本葉が3~4枚で非常にきれいに育っていました。その後、キュウリと同じ5/28に定植しました。

定植後約3週間の6/18の状態ですが、ほとんど生長しておらず、葉の色も黄ばんでいて調子が良くないです。土がやせており、ゴーヤーに対しては肥料分が不足していることと、午前中は木の陰になっており、日照が不足していることが原因と考えられます。

1年目の畑では土の状態や日当たりを十分把握できていないため、作物に適した場所に作付けするのが難しいです。1年目はできるだけ多くの種類の野菜を植えてみて、最適な野菜を選定していくことが重要と考えます。

バジル

バジルもキュウリ、ゴーヤーと同じく4/24に種まきしました。こまめに間引きを行い、最終的には1本のみを残し、5/29にキュウリと同じ畝に定植しました。定植後にはたっぷりと草マルチを敷き、土の乾燥を防ぎます。また、草マルチを何度も繰り返すことで、土が団粒化していき、肥沃になっていきます。

6/26のバジルの様子です。キュウリと並んで順調に育っています。バジルとトマトはコンパニオンプランツとして、一緒に育てるとともに良く育つと言われています。キュウリとバジルの相性はよくわかりませんが、ここまでは順調なようです。

生長点に花芽が出てきたら、早めに摘み取ります。すると摘み取った下の段から2本の脇芽が出てくるので、その脇芽が大きくなった時点でまた収穫します。このようにすることで、どんどん収穫量が増えてきます。

ある程度まとまった量を収穫できると、バジルソースにして長期間保存することが可能です。

まとめ

畝立て後に定植した野菜の紹介をしました。枝豆、キュウリ、バジルはまずまず順調に育っていますが、九条葱、ゴーヤーは少し厳しいようです。

開墾後1年目は、どのような作物が良く育つかを実験的によく観察するとともに、草マルチをしっかりとして土の団粒化を促し、育てることのできる品目を増やしていくことが自然農の醍醐味と言えます。

土が変わってくれば、生えてくる草の種類も変わってくるので、それにより植える作物を選定することができます。

次回は畝を立てずにそのまま作付けした野菜を紹介していきたいと思います。

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