自然農を始めてみたい、興味があるけれど、実際にどのように始めるか分からない人も多いと思います。自然農を始めるうえで重要なのは、始めるときの土の状態です。それまでどのような使われ方をしてきたのか?それに応じた方法で始めれば、スムーズに自然農を始められます。
自然農とは
自然農は次のような考え方で取り組みます。
- 肥料、農薬、除草剤を使用しない
- 草や虫を敵としない
- 耕さない
- 何も持ち込まず、持ち出さない(収穫物は除く)
一般的な農業の常識からはかなり外れています。はじめて自然農に取り組む場合、肥料をやらずに育つのだろうか、農薬をまかずに病虫害は防げるのだろうか、といった疑問を持つと思います。
しっかりと自然の営みを活かして栽培すれば、十分に野菜を育てることが可能です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
自然農の始め方
始めるときに重要なのは、畑にする場所がそれまでどのように使われていたかです。土の状態により対応の仕方や、難易度、育てやすい作物なども変わってきます。
私はこれまでに様々な土地で自然農を始めてきました。
- 畑として使われたことがない草だらけの空き地
- 数年前まで畑として使用されていたが、その後は草刈りのみ実施された耕作放棄地
- 市民農園
- 前年まで肥料たっぷりの有機農法をされていた畑
これらの場所を畑にし、野菜を育ててきました。うまくいったこともあれば、そうでないことも多々ありました。その経験を踏まえ、それぞれの場所でどのようにすれば自然農で野菜を育てられるかまとめました。
草だらけの空き地
草が生えたままになっている場所は、そこで生命の循環が営まれているため、自然農を比較的始めやすいです。はじめに草を刈って畝を立てるまでが大変ですが、表土には豊かな養分がたまっているいると考えられます。
畝立ての時に、大きな石や宿根(多年草の根)を取り除いておきます。全面的に耕す必要はありません。そして、刈った草を畝の上に敷いておきます。
落花生、エンドウなどの豆類、サトイモ、ジャガイモなどのイモ類などが良く育ちます。ナスなどの果菜類ははじめは難しい場合もありますが、数年自然農を継続すれば育つようになります。
草刈りされた耕作放棄地
耕作はされていないのですが、景観や近所への配慮から草刈りだけは行われている畑があります。このような場所で自然農を実施する場合、まず地力を回復する必要があります。
刈った草をその場に敷いている場合は、それほど問題にならないのですが、草を持ち出している場合には対処が必要です。草という有機物が持ち出されてしまっているので、土の中の生き物が十分に活動するための養分が不足している可能性があります。
その場合、草として持ち出された養分を補ってやる必要があります。野菜を植えた後、米ぬか、油粕などを振り撒いておくことで、改善できます。また、草が生えてきたらそれを刈って敷いておくことが非常に重要です。
このようにしても、はじめの数年は十分な収穫が得られないこともあります。このような場所では、窒素分を補給できる豆類、養分が少なくても育つイモ類なら収穫が期待できます。そして、数年間継続することで、徐々に育てられる野菜の種類が増えてきます。
市民農園、貸農園
市民農園で畑を借りた場合、前の利用者がどのような使い方をしていたか分からないことが多いです。そのような場合は、生えている草を観察すると良いです。草の役割で書いたように、生えている草によりその土の肥沃さを推定することができ、適した作物を選ぶ指標とすることができます。
市民農園で自然農を行う上で注意すべき点として、隣人への配慮があります。多くの人は畑の上は草一本生えていない方が良い状態と考えています。自然農は草を活かす農法なので、人によっては理解してくれない場合もあり、きちんと草を刈れなどと、小言をいただくこともあります。
したがって、特に隣との境界と通路はしっかりと草刈りを行うことが重要です。また、畝の上もあまり草丈を高くせず、早めに刈って敷いておくことで、「きちんと管理している感」を出すことができます。
一番良いのは、きちんと会話して自然農とはどういうものかを説明することです。めずらしい野菜を植えると会話のきっかけになることがあります。私は相模半白胡瓜を育てていた時に、隣から話しかけられ、その時に自然農について会話する機会を得ました。草が生えていても、肥料を与えなくてもこれだけ育つというのを示し、収穫できるものがあれば少しおすそ分けして、実際に味わってもらうことで、一気に理解していただけると思います。
実際に貸農園で自然農を始めてみたいを思う方は、下記サイトから探してみてください。
肥料たっぷり有機農法の畑
自分が借りる前に使っていた人が、有機肥料をたっぷり使って有機農法を行っていた場合、土はかなり肥沃です。したがって、どのような作物を植えても、かなり大きく成長します。しかし、注意点があります。
私の場合、以前にやせた土地で自家採種したトマトやソラマメの種を播いたのですが、成長が良すぎてかなり暴れてしまい、最後には病気になってしまいました。つまり栄養過剰になっていたのです。
このような場合は、肥料をたくさん吸収するイネ科の作物を植えると良いです。トウモロコシや小麦、ライ麦などが該当します。これらはクリーニングクロップと呼ばれたりします。まさに畑のそうじ屋ですね。
また、イネ科の雑草を生やして、ある程度の大きさになってから刈って敷くことでも同様の効果が得られます。より専門的には、土の中の窒素に対する炭素の割合を上げることになります。
このようにしていると、始めてから2~3年程度は生長が悪くなっていくように感じるかもしれません。しかし、自然農を続けることで、次第に土が清浄になり、病気も出にくくなってきます。
除草剤が使われていた畑
耕作放棄地などで雑草対策として除草剤が使用されていたような場所の場合、または慣行農法で化学肥料と除草剤が使用されていた場合、自然農に転換するのはかなり難しいです。
草が生えないので有機物が供給されないうえ、薬により土中の生き物がかなり減少しているため、生命の循環が回復するまでは、肥料なしにまともに作物を育てることは難しいです。
他に使用できる場所が確保できるなら、このような土地は避けた方が良いです。どうしてもそこで自然農を始める必要があるならば、自然農の原則に反しますが、最初だけ全面耕起により有機肥料をすき込んで、微生物の活性をできるだけ上げ、その後自然農のやり方に移行するのが良いと思います。
まとめ
畑の状態別に自然農の始め方を解説しました。やせているのか、肥えているのかにより、育てる作物を適切に選ぶことで、はじめからある程度収穫が期待できます。また、自然農を行う場合には、きちんと草管理を行い、周囲の理解を得ることが重要です。
このようにして自然農を始めることができれば、どんどん畑が良くなっていき、いろいろな作物を育てることができるようになります。
自然農についてもっと詳しく知りたい方は、下の記事をご覧ください。