【家庭菜園】栽培計画の立て方|何をいつ植えるのか分かりやすく解説

家庭菜園を始めたいけど、何をいつ植えていいか分からない

このようなお悩みを解決するには栽培計画を立てるのが良いです。作付け計画とも言います。

計画を立てずに栽培を始めてしまうと、植える場所がもうないとか、時期を過ぎてしまった、といった失敗をしやすくなります。

でも、栽培計画と言っても、初めての方はどのように作るか分からないですよね。

心配はご無用です。家庭菜園から営農まで10年以上野菜作りを実践し、毎年栽培計画を立てている私が分かりやすく解説します。

栽培計画は、育てたい野菜をパズルのように組み合わせていく、とても楽しい作業です。どんな野菜を育てるか、考えるだけでワクワクしますよね。

この記事を読むことで、栽培計画を立てられるようになり、自分の理想的な畑に一歩近づくことができます。失敗を減らし、旬の野菜をたっぷり収穫できるよう、ぜひ栽培計画を立ててみてください。

目次

栽培計画の目的

家庭菜園では、季節ごとに色々な野菜を収穫する楽しみがあります。家庭菜園で一面のキャベツ畑とか、聞いたことが無いですよね。

つまり、少量かつ多くの種類の野菜を育てていくことになります。このためには、どの野菜を、いつ、どこに植えるのかを決める必要があります

しかし、行き当たりばったりで作付けをしていると、次のような問題が起こるかもしれません。

  • 植えたい野菜があるけど、もう植える場所がない
  • 栽培適期を過ぎてしまった
  • 日当たりや土の条件が合わずに上手く育たなかった

このようなことを避けるために、栽培計画を立てておくことがとても大切です。

いつ、どこに、何を植えるかをあらかじめ決めておくことで、畑のスペースを有効に活用し、自分の育てたい野菜を過不足なく植えることができます

さらに、それぞれの野菜の性質を考慮して計画すると、栽培の成功確率が高くなります。

また、仮に栽培がうまくいかなかった場合でも、次の年の改善に役立てることが可能です。前年の計画のどこに問題があったか振り返ることができますからね。

この繰り返しでどんどん栽培が上手になっていきます。

では、具体的にどのように栽培計画を立てるのか見ていきましょう。

栽培計画の立て方

栽培計画ってどんなもの?

そもそも栽培計画とは何を作るものでしょうか。それは栽培カレンダー畝の割り当て表です。

先にそれぞれの具体例をお見せします。この記事を最後まで読むことで、これらを作れるようになります。

栽培カレンダー

栽培カレンダーは、作物ごとに、種まき、定植(苗を畑に植えること)、収穫、種採り(自家採種する場合)の時期をカレンダーに記入したものです。

栽培カレンダー(例) クリックすると拡大します

畝の割り当て表

畝の割り当て表は、畑の中のどの畝に何を植えるかを示したものです。春夏と秋冬で植えるものが変わるので、それぞれ作成します。

畝の割り当て表の例(春夏)
畝の割り当て表の例(秋冬)

それでは栽培計画の立て方を解説します。まず次の3つを決めます。

何を植えるか決める

何を植えるか。基本的には自分が育てたいものを選べばOKです。しかし、気を付けることがいくつかあります。

その前に、野菜の分類方法について理解が必要です。

野菜の分類方法

野菜は、科目、品目、品種という3段階の分類方法があります。

科目はナス科やウリ科など、植物学的な特徴から分類されたものです。3つの中で一番大きな分類です。

品目はトマトやナスなど、いわゆる野菜の種類となり、中間の分類となります。

品種はトマトでは「アイコ」や「桃太郎」といった一番細かい分類です。

科目、品目、品種の分類の例を表にしました。

ここでは、それぞれがどのレベルの分類かをイメージしてもらうために、代表例を示しています。実際にはもっとたくさん種類があります。

スクロールできます
科目品目品種
ナス科トマトアイコ、桃太郎など
ナス千両ナス、真黒ナス、水ナスなど
ジャガイモ男爵、キタアカリなど
ウリ科キュウリ四葉キュウリ、相模半白など
カボチャ坊ちゃん、バターナッツなど
マメ科枝豆(大豆)錦秋、エンレイなど
エンドウスナップエンドウ、ウスイエンドウなど
落花生千葉半立、おおまさりなど
アブラナ科大根宮重大根、三浦大根など
かぶみやまこかぶ、寄居かぶなど
野菜の分類例

では、科目、品目、品種をどのように選ぶか見ていきましょう。

科目を選ぶポイント

科目を選ぶときには、特定の科目に偏らないようにすることがポイントです。どうしても夏野菜はナス科、秋冬野菜はアブラナ科に偏りがちです。

科目が偏ると、それを好む虫が発生しやすくなります。例えばナス科に付くニジュウヤホシテントウやアブラナ科に付くアブラムシなどです。

様々な科の野菜が植わっていると、生き物たちも多様になり、特定の種類の虫だけが多量に発生することが少なくなります。

科目のバランスを意識して選ぶようにしましょう。

トマトの葉をかじるニジュウヤホシテントウ

品目を選ぶポイント

品目は育てたいものを自由に選んで問題ありません。ただし、気候や土の状態との相性が悪い場合には上手く育たないことがあります。

相性については、この後「どこに植えるか」で詳しく解説します。

品種を選ぶポイント

品種はそれぞれの品目の中で、様々な特徴を持っています。選ぶポイントとしては次のようなものがあります。

  • 大きさ
  • 成長の早さ (早生[わせ]、中生[なかて]、晩生[おくて])
  • 耐病性、耐寒性、耐暑性
  • 多収性 (1株から収穫できる量が多い)

これらの特徴のうち、どれを重視するかで品種を選びます。

例えば

  • 収穫量が少なくても、とにかく味が良いものを選ぶ
  • 病気が出やすいので、味は落ちるが耐病性が高いものを選ぶ

といった感じです。残念ながらすべての特長を兼ね備えた品種はありません。種屋さんのカタログやホームページを見ながら、自分の好みに合った品種を選んでください。

これらは、固定種の種を購入できる種屋さんです。固定種って何?という方は、次の記事をご参照ください。

いつ植えるか決める

家庭菜園では、栽培適期に植えることが重要です。それぞれの作物には生育に適した温度があり、その温度を確保できる期間に植えることが成功への近道です。

プロの農家さんは、販売価格を上げるためにあえて適期をずらすことがありますが、家庭菜園ではその必要はありません

栽培適期はどうやって知ればいいの?

やさいのこころ

主に4つの方法があります

栽培適期を調べる方法は主に4つあり、インターネット、種屋さんのサイト、書籍、種袋の裏書です。

スクロールできます
情報源メリットデメリット
インターネットすぐに調べられる品目レベルまでの情報がほとんど
種屋さんのサイト品種レベルまで調べられるその種屋さんが販売している品種のみ
書籍様々な野菜を網羅的に調べられる品目レベルまでの情報がほとんど
種袋の裏書その品種の適期を直接分かる店頭などで実物を見る必要がある

おすすめは種屋さんのホームページです。私は種を購入するときはほとんど「野口のタネ オンラインショップ」を利用しています。そこで購入したい種の栽培適期を調べています。

また、家庭菜園の書籍を1冊持っておくと、網羅的に調べることができて便利です。おすすめの書籍はこちらです。あとで紹介する「コンパニオンプランツ」についての記載が豊富にあります。

注意すべき点としては、畑のある地域で適期が異なることです。冷涼地と温暖地で適期がずれるので、ご自身の地域にあった栽培適期を参照するようにしてください

どこに植えるか決める

作物の性質に合わせた場所に植える

複数の畑がある場合や、一つの畑でも場所によって日当たりや水はけなどの条件が異なる場合には、作物との相性を考慮することで、より成功しやすくなります。

例えば畑の一角に木が植わっていて、影ができるところには、ショウガやシソなど半日陰を好む作物が適しています。

水はけが良い畑では、ジャガイモやトマトなど乾燥を好む野菜、水がたまりやすい畑では枝豆やサトイモが適しています。

自分の畑の状態をよく観察し、それぞれの場所に適した野菜を植えるようにしましょう

前作との相性を考慮する

初めて畑に作物を植える場合には、特に問題はないですが、2回以降は前に何を植えていたかを考える必要があります。

一般的に同じ畝に同じ科の作物を続けて植えると生育が悪くなると言われています。これを「連作障害」と言います。

連作障害を避けるにはどうすればいいの?

やさいのこころ

連作障害を避けるためには、前に植えていた作物と異なる科の作物を植えると良いです

畑を3つあるいは4つのエリアに分けて、それぞれのエリアで科を順番に回していく「輪作」という植え方があります。

連作と輪作について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

栽培計画例

では実際に栽培計画をどのように立てるのか、具体的な例を用いて説明します。

栽培カレンダーのつくり方

STEP
育てたい品種を選ぶ

前章の「何を植えるか決める」を参考に、育てたい作物を選びます。できるだけ科目が偏らないように注意してください。

STEP
種まき、定植、収穫時期を確認する

選んだ野菜の種まき時期、定植時期(苗で植えるもののみ)、収穫時期を確認します。

お住まいの地域に合わせた時期を確認することがポイントです。

STEP
年間のカレンダーに記入する

STEP1、2の情報をカレンダーに書き込みます。エクセルなどで作成しても良いですし、手間がかかるようでしたら手書きでも問題ありません。

年間を通じて収穫が途切れないように計画すると、年中旬の野菜を楽しめます。

こちらが、上記のSTEPにしたがって作成した栽培カレンダーの例です。◯が種まき時期、△が定植時期、濃い色の四角形が収穫時期を表しています。薄い色は畑に植わっている期間です。

栽培カレンダー(例) クリックすると拡大します

これを参考にぜひご自分の栽培カレンダーを作ってみてください。

畝の割り当て表のつくり方

次に畝の割り当て表のつくり方です。ここでは、4段×2列の8本の畝があると想定して割り当て表を作ります。実際にはご自分の畑の畝の本数、形状に合わせてください。

STEP
選んだ野菜を畝に割り当てる

栽培カレンダーを見ながら、早く植え付けるものから順番に畝に割り当てていきます。

春夏と秋冬でそれぞれの割り当て表を作ると整理しやすいです。

複数の種類を一つの畝に組み合わせて植えるコンパニオンプランツを考慮するのも良いでしょう。コンパニオンプランツとは、一緒に植えるとお互いの生育が良くなる植物のことです。

お互いに相性の良い組み合わせとして以下のものがあります。

  • 里芋と枝豆
  • ニンジンとほうれん草
  • トマトとバジル
  • オクラと落花生

その他にも様々な組み合わせがあるので調べてみてください。

STEP
畝の数が合わない場合には調整する

育てたい野菜を各畝に割り付けていくと、畝の数が足りなかったり、逆に余ってしまったりすることがあります。

畝の数が足りない場合には、育てる野菜の種類を減らすか、1種類当たりの植える数を減らし、一つの畝で複数の作物を植えるようにします。このとき、コンパニオンプランツを考慮できると望ましいです。

畝が余る場合には、追加でほかの種類の野菜を植えるか、何も植えないという選択肢もあります。

畑を休ませることで地力の回復が期待できます。自然農で栽培する場合には、できるだけ草を生やしておくとさらに効果的です。ただし周辺の迷惑にならないよう注意しましょう。

STEP
畝の長さと株間から植え付け数を計算する

作物は栽培に適した株間(株と株の間の長さ)が決まっています。畝の長さと株間から、何株植えるか計算できます。それにより種や苗を用意する数を確認しましょう。

畝の割り当て表の例(春夏)
畝の割り当て表の例(秋冬)

種まき予定表の作成 (種類が多い場合)

上記の例では年間で20種類の野菜を植えることを想定しました。これほどの種類になると、種の買い忘れや播き忘れにより、適期を逃してしまうリスクがあります。

そこで、種まき予定表を作っておくと安心です。実際に何月何日にどの種をまくのか、一覧表にしておきます。さらに、種を入手済みなのかも併せて記入しておくと、種の買い忘れも防げます。

小規模の畑で数種類の野菜を育てる場合には、ここまでする必要はありません。なお私は年間40種類ほどの野菜を育てているので、種まき予定表の作成が欠かせません。

まとめ

栽培計画の立て方について解説しました。

栽培計画は「何を、いつ、どこに植えるか」を決定することでした。そしてその情報を「栽培カレンダー」と「畝の割り当て表」に反映します。

限られたスペースで自分の育てたい野菜をできるだけ効率的に配置するには、様々な知識が必要となります。始めのうちはあまり欲張らず、無理のない範囲で計画を立てることで良いでしょう。

栽培に慣れてくれば、作物同士の相性や前作との関連性などを追及していく楽しさが味わえます。

どのレベルであっても、初めに栽培計画を立てておくことで、失敗の可能性を下げることができます。しかし、計画通りにいかないことも多々あります。

どこに問題があったかを振り返るためにも、計画を立てておくことが重要となります。

ぜひあなたもオリジナルの栽培計画を立てて、栽培技術を高めていきましょう。

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