虫の役割

雑草と並んで厄介者あつかいされるのが、野菜を食べてしまう虫たち。しかし、虫には大変重要な役割があります。自然農は虫がいないと成り立たないと言っても過言ではないです。虫の本当の役割について述べます。

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害虫と益虫

ナナホシテントウはアブラムシを食べるので益虫、ニジュウヤホシテントウはナス科の野菜を食べるので害虫などと、分類されることがあります。しかし、これは人間の都合による分類です。

害虫を駆除してしまうと、その害虫を食べる虫や鳥などがいなくなり、かえってその虫が住みやすい環境になってしまうことがあります。

重要なのは、食物連鎖を切らないことだと考えます。草にもそれぞれ役割があるように、虫たちにも役割があります。

虫の本当の役割

せっかく育てた作物を食べてしまう虫の役割とは何でしょうか。畑をよく観察していると、健康に育った作物ほど、虫に食べられることが少ないことが分かります。よく有機野菜などで虫食いを肯定する意味で「虫が食べるほどおいしい」と言ったりしますが、これは少し違うと思います。

健康状態の悪い植物ほど虫に食べられやすくなります。特に肥料のやりすぎにより窒素過多となった場合には、病害虫が多発します。肥料により栄養のバランスが崩れてしまったものは、その場でそれ以上生育することが好ましくないという自然の摂理により、虫が食べて土に返していると考えられます。

私はこの話をするとき、「風の谷のナウシカ」を思い出します。森の木々は、人間が出した汚染物質を吸収し、浄化して砂となっていきます。その営みを虫たちが守っていることをナウシカは発見します。現実の世界では、植物が吸い上げた毒(肥料分)を虫たちが食べることにより、浄化しているのです。

虫たちが土に返した後は、そこにはその場所に適した草が生えます。したがって、私たちが作物を植える場合には、その土に合った作物を植えることが、虫にやられないためにも重要となります。やせた土には、養分を必要としない作物を、肥料が多く残る土には、肥料分を良く吸収して大きくなり、多くの物質を循環できる作物を植えることで、次第にバランスの取れた土になっていくと思います。

虫は殺すべきか

自然農の原則の一つに「草や虫を敵とせず」があります。川口由一さんは、野菜を守るために、「ためらわず、憎しみを持たず、慈しみの気持ちを持って殺す」とおっしゃっています。したがって、根絶させるようなことはしてはならないということです。調和が崩れてしまった場合には、自らも調和の一部になるべく、生と死の循環にかかわっていく姿勢なのだと思います。

私自身は、畑の中にいて、なかなかそのような心境にまでは到達できません。虫が作物を食べていた場合、大したことがなければ放任します。新芽を食べられていたり、超大食漢のセスジスズメの幼虫などがいた場合には、殺さず移住してもらうようにしています。

虫の役割をしっかりと理解し、調和のとれた畑にすることで、虫との共存を図っていきたいと思います。

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